<GILLIE>株式会社ギリー
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GILLIE CLUB

『4月の広東料理を楽しむ』
〜 赤坂璃宮譚総料理長に聞き、食し、憩う1年 〜


<ご報告>


今回は妙に会話が少なく、静かに進行しました。というのも、小林さんのレポートにもありますが、「いつもよりも進行が早い」と厨房で話題になっている、と言われたように、皆さん新しい食材、新しい食感の料理との出会い、味わいを楽しみ、噛みしめ、自分でじっくり感じた時間でした。

「うつぼ」という食材、
うーん、こんな味わいになるのか、こんな食感なのか、広東料理にするとこういうものか、新鮮な体験に参加者一同打ちのめされた感じです。恐るべし広東料理、素晴らしき料理人たち、という事を実感した一夜でした。(いつもそうなんですけどね。)机以外の4つ足は何でも食べてしまう広東料理、、、奥は深いです。

このシリーズも残すところあと3回、そろそろ継続企画を検討中です。食から入る中国研究、頑張って企画したいと思っています。
渡辺幸裕

(小林由佳さんのレポート)

ホテル メトロポリタンエドモント(飯田橋)内に先月オープンした新店舗も好調な「赤坂璃宮」。譚シェフはいつにも増してお忙しいご様子ですが、今回もギリークラブのために尽力のメニューを用意して下さいました。

●璃宮焼味盆 (レイ・ゴン・シュウ・メイ・ピン)
焼き物前菜盛り合わせ
今回は新たな焼き物師による前菜が登場しました。「皮付き豚ばらクリスピー焼き」、黄人参や大豆、チシャの甘酢漬けなどの定番に加え、「トントロの炙り」、「カムチンカイ」がニューカマー。「カムチンカイ」は3層からなる肉料理。上から極薄の豚背脂、豚脛肉、鶏レバーと重なり、赤色の濃い甘味のあるタレでまとめられています。3種類の肉は上から順に微妙に厚みを増し、レバーの食感が全体をまとめています。クラゲはキャノンボールという品種の頭の部分を使い、香菜をアクセントにしています。

●椒塩脆油魚 (チュウ・イン・チョイ・ヤウ・ユイ)
うつぼのスパイス揚げ
今回の参加者が楽しみにしていたのが、このうつぼ料理。中国では広東省、海南省、香港など南シナ海に面したエリアで食用され、日本は和歌山県南部で正月料理に欠かせない食材なのだそうです。「中国料理には鱧をおろすような骨切りの技術がないため、本国では手間のかかる魚とされています」と譚シェフ。赤坂璃宮には高知産のうつぼの冷凍フィレを常備しているそうですが、今回はギリークラブのために生のうつぼを丸ごと用意。赤坂璃宮の大川さんも、生のうつぼを使った料理は初めてなのだそう。登場したのは、大皿にあふれんばかりのうつぼ一匹。顔が思いっきりコワイ……こんなコワモテが本当に美味しいのでしょうか……。「冷凍のうつぼとは別物ですね」と驚いたのは大川さん。「この弾力は生ならではでしょう。動物的というか、魚という感じがしません。どちらかというとカエルに近い」。確かにすごい弾力ですが、固くはありません。脂ののり方は魚そのものですが、上等なハムのような肉質なので白身魚とも似て非なるもの。この料理では、スパイスの香りと衣の香ばしさが淡泊な肉の味を引き立てていました。初対面にして驚きの美味しさ!

●乾葱油魚保 (コン・チョン・ヤウ・ユイ・ポー)
うつぼの土鍋煮込み
ニンニク、豆鼓、赤パプリカ、ピーマン、玉葱と一緒に煮込まれたうつぼ。一口食べた人から「他の食材に例えられない」という声が上がります。肉厚なうつぼの食感に引けを取らない身の厚いパプリカ、丸のままホクホクのニンニクも美味。スパイス揚げ同様、魚貝とも獣肉とも違う食べ応えはクセになります。「宴会用にうつぼだけでコースを組めますか?」という参加者からの質問に、「もちろん出来ますが、今回うつぼの下処理を担当した料理人は“しばらくやりたくない”と言ってましたよ(笑)
 それほどうつぼの下処理は困難で、手間がかかるんです」と譚シェフ。確かに、大きくヌルヌルで骨も細かいうつぼの下処理は手間もかかることでしょう……しかし、頼みたくなる気持ちもよ〜くわかります。

●イレギュラーのメニュー
うつぼのスパイス揚げの骨(中落ち?)炒め
ここで、先ほどのスパイス揚げで残った骨の部分が辛味炒めになって再登場。スパイス揚げを炒め、公爆(クンポー)タレで仕上げてあります。衣に絡んだ辛味と骨の間についたコラーゲンたっぷりの脂。ビールよりコクのある紹興酒がよく合う味です。「ギリークラブのメニューは、会が始まってからの厨房で臨機応変に変化していくため、スタート前にカンニングできないんです」と大川さん。こんなイレギュラーなら、いつでも歓迎ですね。

●排翅燉水魚 (パイ・チイ・ダン・ソイ・ユイ)
スッポンとふかひれの蒸しスープ
「ひと匙に幸せが詰まってる」「もったいなくてチビチビ飲んでしまう」という具沢山のスープ。2皿続いたうつぼの興奮をそのまま続けさせてくれる一品です。フカヒレ、スッポン、ツブ貝、金華ハム、クコの実、ワイサン(漢方薬に用いる山芋)が各自の器に盛り上がるほど入っています。スッポンのエンペラーは、行儀の悪さを覚悟で歯で骨をしごきゼラチン質を堪能。スープは最後の一滴までアツアツのまま。食べている最中から体がポカポカ温まってきます。フカヒレとスッポンという二大高級食材が入った豪華なスープに、思わず「どっちが主役なんですか?」と大川さんに伺ったところ、「中国の人にとっては、スッポンのほうが大事かもしれません。もともと中国人は力の付く食材が好きなので」とのこと。ちなみに幼少期の譚シェフが風邪をひくと飲まされていたのは、鶏を一羽丸ごと煮込んだスープだったそうです。

●土豆国産牛(トウ・タウ・コッ・チャン・ガウ)
ジャガイモと牛肉の炒め
コース冒頭から、新任焼き物師による前菜、うつぼ料理2品、極上スープ……とパワフルな料理が続きましたが、ここにきて“ホッと一息”の炒め料理が登場しました。いちばん薄くスライスされているのは熊本産の牛肉。続いて赤ピーマン、ジャガイモ、キヌガサ茸の順でスライスの厚みが増してきます。なるほど、先ほどの土鍋に入っていたのは赤パプリカ=肉厚なピーマンでしたが、こちらは薄い赤ピーマンを使っているため、他の素材と食感のバランスも整います。ミディアムレアなキヌガサ茸も美味。全体をオイスターソースで仕上げたシンプルな一品でした。

●竹笙魚什(チョク・サン・ユイ・ヂャプ・クウ)
キヌガサ茸とキノコのあんかけ
美しい朱で描かれた絵皿の上に、アワビ茸、シイタケ、キヌガサ茸と熊本産のヤーコンが。これらをひとつにまとめているあんかけは、アワビを煮る時に使うものと同じ出汁を使います。ニンニク、エビ、金華ハム、豚足、豚肉、オイスターソースと砂糖で味付けられた、柔らかな琥珀色。「この味の良さこそ、袁シェフの腕のなせる技です」と大川さんも絶賛。キヌガサ茸は、四川省で採れた天然モノの乾燥をもどして炊いています。天然モノのキヌガサ茸の“採れたて”が市場に出ることは滅多になく、譚シェフですら、まだ現物を見たことはないとか。生のキヌガサ茸は独特の匂いを放つため、乾燥させ足の部分のみを食べることが常だそうです。これらキノコ類の滋味深さはもちろんですが、この主役陣と引けを取らない存在だったのが、ヤーコンでした。厚みのある一切れは大根のようで、シャクシャクした歯応えが“楽しい”美味しさ。あんかけのとろみとも絶妙にマッチします。参加者全員、キノコ類とヤーコンを食べ終えると、皿がキレイになるまであんかけをすくい堪能しました。

●福建文米粉(ホッ・キン・マン・マイ・ファン)
あんかけビーフン
“あんかけ”と名のついたメニューが続きますが、こちらはあんかけ状のスープをすっかり吸い込ませて仕上げたビーフン。タマネギ、豚肉、緑ピーマン、エビなどは他店のビーフンと変わらぬ材料ですが、赤坂璃宮のビーフンには、ここにスズキで作った中華風さつま揚げ、焼き物のアヒルの皮の細切りが入ります。このアヒルの皮が味と食感の大きなポイントとなっています。台湾ビーフンよりも少し太めの麺に、これらの素材が余すことなく絡み、コース終盤で満腹なのに“もうちょっと”欲しくなる味。見た目は茶色のシンプルな炒め料理、しかし食べた途端に味の幅広さに驚かされました。

美点凍甜品(メイ・テン・トン・ティン・プン)
本日のデザート6品+いちごのパイ菓子、金辺蘭(烏龍茶より発酵の進んだ茶葉)デザートは前回と同じ6品に加え、いちごの甘酸っぱさを生かした焼き菓子です。これを蘭の香りが心地よい中国茶と共にいただきました。

●ご本人はお気づきか否かわかりませんが、今回特に目立ったのは、会をナビゲートしてくださる大川さんの「美味い!」の連呼。そして参加者はいつになく言葉少なに次々と皿を空け、お酒の量もいつもより少なかったように感じます。全員、コース始めのうつぼ料理で“予想外の”美味しさに驚愕し、そのまま会話の余裕もなく美味に没頭した様子。「生まれて初めて体験した食感が多かった」「香港で食べた輪切りの うつぼ料理とは全く異なる味だった」などという感想が、デザートを終える頃にようやく聞こえてきました。譚シェフによると、香港でのうつぼ料理は、味噌味か醤油味で仕上げてある土鍋煮が主流だそうです。「うつぼの皮下脂肪にあるゼラチン質が美容にいいとされていますが、中華包丁でうつぼをおろすのは本当に大変です。そして冷凍はやはり身がパサつくので、今日のうつぼも、2日前に入荷したものを今朝になってからおろしました。ゼラチン質が多いので、スープにしたらちょっとしつこいかなと思い、揚げものと煮ものに仕上げました。でも、思った以上にインパクトの強い料理になったので、このうつぼ料理2品はコースの最後に出してもよかったですね」。

そして話は4月にオープンしたエドモントホテルの「赤坂璃宮 エドモントホテル店」の話題に。「エドモント店のシェフは、香港がそのまま来たという感じの人です。パクチーの使い方や煮込み料理が本当に上手い」という大川さんに、「もともと私が使っていた厨房ですから、新規オープンとはいえ設備は完璧。店内のインテリアも贅を尽くしています」と譚シェフも続きます。「次回は、このエドモントのシェフ、ゴウさんが勧めるハト料理を考えています。今まではフランス産の輸入に頼っていましたが、最近国産で美味しいハトが手に入るようになったので、是非これをギリークラブに出してみたいですね」。本当に美味しいハトは、生まれて3週間以内、まだ飛ぶための太い羽根が生える前の幼鳥とか。「目をつむって食べたら、鳥肉の中でもこのハトがダントツに美味しい」という譚シェフの断言に、次回への期待に胸ふくらませ会は終了しました。


璃宮焼味盆
レイ・ゴン・シュウ・メイ・ピン
〈 焼き物前菜盛り合わせ 〉

椒塩脆油魚
チュウ・イン・チョイ・ヤウ・ユイ
〈 うつぼのスパイス揚げ 〉

乾葱油魚保
コン・チョン・ヤウ・ユイ・ポー
〈 うつぼの土鍋煮込み 〉

排翅燉水魚
パイ・チイ・ダン・ソイ・ユイ
〈 スッポンとふかひれの蒸しスープ 〉

土豆国産牛
トウ・タウ・コッ・チャン・ガウ
〈ジャガイモと牛肉の炒め〉

竹笙魚什
チョク・サン・ユイ・ヂャプ・クウ
〈 キヌガサ茸とキノコのあんかけ 〉

福建文米粉
ホッ・キン・マン・マイ・ファン
〈 あんかけビーフン 〉

美点凍甜品
メイ・テン・トン・ティン・プン
〈 本日のデザート 〉

スイーツ
 
 

<ご案内>

本シリーズももう9回目です。
益々充実しています。

過去の会の様子がここにあります。
お時間があればご覧になって下さい。
(写真もあります)

http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2009/0818.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2009/0916.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2009/1014.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2009/1111.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2009/1202.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2010/0113.shtml
http://www.gillie.co.jp/g_club/seminar2010/0217_01.shtml

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(企画スタート時の案内です)

広東料理料理人の巨匠である譚 彦彬総料理長の指揮の元、銀座店の袁國星料理長に作って頂く美味しい広東料理を食べ、食材や調理法などのメニュー、美味しい食べ方を伺います。

毎月美味しい料理それぞれのメニューの詳しい内容、特徴、そして味わい深い広東料理の特徴、楽しみ方などを、譚社長、同席して頂く大川さんに聞きながら食べて学びます。

ご参加の皆様と広東料理との距離を短くし、赤坂璃宮さん、譚さん、袁さん、大川さん達と仲良くなり、行きつけの中国料理店を増やす、そんな場になればと思います。

中国という長年の素晴らしい隣人を理解するため、“美味しい料理から中国文化の理解”を始める企画でもあります。中国人の食に対するあくなき探求心とバイタリティが、各国の田舎町にもある中国料理店の存在で分かります。

美味しいものを食べながら、毎月の季節感を目と舌で感じ、達人がいてくれるので、そもそもの疑問が何でも聞ける。おまけに楽しい雰囲気でワイワイやる・・そんな会です。楽しくないと続かない、そんな信念で続けています。

毎月1テーブルのみという少人数での開催ですが、その月に美味しい料理を順に食べながら、広東料理を学びます。(カメラマンとライターさんと共に記録しています。)

この円卓1テーブルというのが大変効果的で、10名以上の方がいらしても、話が一つになれるのです。中国料理、広東料理を皆で学んでいるという感じがします。

この日は参加できないが、広東料理を知りたいと希望される方には、ギリークラブと同じ内容か、別メニューで、ご自身がホストになっての食事会ができるようにアレンジします。

いつでもご紹介しますので、遠慮なくおっしゃって下さい。ギリークラブの紹介であれば、その日に向けて準備した資料などが、転用できる事もあります。

シリーズ企画ですが、単発参加でも全く問題ありませんし、一人でのご参加でも全く問題ありません。気持ちを一つにして同じ物を食べた方はすぐに仲間になります。

奮ってのご参加お待ちしています。

<参考情報>

<譚 彦彬氏プロフィール>
1943年横浜中華街生まれ
新橋『中国飯店』、芝『留園』、京王プラザホテル『南園』副料理長、
ホテルエドモンド『廣州』の料理長を経て、
平成8年9月より『赤坂璃宮』のオーナーシェフとなる。
平成16年10月1日『赤坂璃宮銀座店』をオープン。

広東料理、中国料理の域を超え、日本人の好みを知り尽くしている
譚 総料理長の美味な料理は、素材を厳選して素材の味を最大限に引き出し、
限りなく本場に近い広東料理にあくまでもこだわり、多くのファンを魅了している。
赤坂璃宮でしか味わえない『ガチョウの釜焼き』、
『石垣島産ハタの姿蒸し』、『フカヒレ料理』が絶品の逸品。

本場中国の味を紹介するための研究と、食材買い付けのため、
年に数回、香港、中国に出かけている。

著書
『フライパンでいいんだよーんー譚さんの中国料理』(文化出版局)
『中国の極うまごはん』(成美堂出版)
『譚 彦彬の本格中華』(別冊山と渓谷)
『赤坂璃宮譚彦彬 ベーシックな中国料理 』(ソニーマガジン)


<袁 國星氏プロフィール>
1962年広東省生れ
香港「翠園」で16年修業
1999年10月1日来日、新橋「翆園」料理長就任
2001年ホテル・メトロポリタン・エドモント「廣州」
譚 彦彬(現赤坂璃宮総料理長)の後任として料理長に就任
2008年8月赤坂璃宮銀座店料理長に就任

<以後の予定>
3月24日(木)番外編 中華街を歩く
4月15日(木)『4月の広東料理を楽しむ』
5月11日(火)『5月の広東料理を楽しむ』
6月15日(火)『6月の広東料理を楽しむ』
7月13日(火)『7月の広東料理を楽しむ』
これで1年シリーズ完結です。
11月に「譚さんと行く香港」を企画中です。

上記日程は変更になる可能性もありますが、出来ればこのまま実施したいと思っています。

<参考サイト>

●広東名菜・赤坂璃宮
http://www.rikyu.jp/

●中国料理ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/

●広東料理ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/

<実施概要>

●『4月の広東料理を楽しむ』
〜 赤坂璃宮譚総料理長に聞き、食し、憩う1年 〜

●日時:4月15日(木)19:00〜22:30
18:45 受付開始
19:00 広東料理の楽しみ方を聞く時間
19:15 食事開始
22:00 譚総料理長に何でも質問する「広東料理交流会」
22:30 終了

●会場 広東名菜・赤坂璃宮 銀座店
中央区銀座6-8-7交詢ビル5F 03-3569-2882
http://www.rikyu.jp/ginza.html

●ゲスト
:譚 彦彬氏(赤坂璃宮 総料理長)
:袁 國星氏(赤坂璃宮銀座店 料理長)

●同席:大川善樹氏(赤坂璃宮 専務取締役)

●会費:ギリークラブ会員 14,000円 ビジター 16,000円
(料理代、飲み物代、セミナー代)
会費内でのお酒でも、十分な量とレベルだと思いますが、
別ワインや中国酒などご希望の方には、別料金でアレンジします。

●参加人数:先着順 10名限定