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日本茶を知り、楽しむ4週

<ご報告>


第三回目は番茶です。番茶というと安ものと聞こえますが、そんな事はありません。でも気楽に飲める身近なお茶でしょう。これを美味しく淹れて、美味しく味わう、これが日々の幸せというものではないでしょうか?

工藤史歩さんのレポートお読みください。


「お茶を淹れるって、クリエイティブ!」を合い言葉に始まったこのシリーズ。
第一回目「煎茶」、第二回目「抹茶」と回を重ねるごとに日本茶への関心が高まります。

日ごろのお茶への意識が高まっているため「コーヒーや紅茶が有料でも何ら疑問に思わないのに、日本茶は無料でいただけるものという思い込みはおかしい」とか「ある程度以上の日本料理屋さんが、日本茶を雑に淹れているとがっかり」といった声も上がります。

シリーズも後半、今回、第三回の目テーマは「番茶」です。
もっとも気軽にざっくり淹れられて、日常生活で活用する範囲が広い番茶。その番茶を知ることで「これまで学んだ煎茶や玉露の輪廓が見えてくる」ということで、冒頭から期待が高まります。

その前に、恒例となった「日本茶とは何か」を学びます。
そう、「日本茶」とは、何でしょうか。

日本茶とは、ツバキ科の植物「茶の木」から摘んだ若芽をすぐ加熱して、緑のまま発酵させないものをいいます。
途中まで発酵させたものは(半発酵)ウーロン茶、完全発酵させたものが紅茶で、この3つのお茶は同じツバキ科の植物です。

日本茶の場合、摘んだお茶は、20時間以内に加熱処理されます。これはお茶の緑をそのまま留めるためで、摘んだ茶葉をそのままにしておくと、黄ばんでしまうそうです。
加熱処理(蒸す)をすぐにするのが日本茶、途中まで加熱するのがウーロン茶、加熱せず発酵させるのが紅茶で、日本茶は発酵を止めるので、生に近いきれいなグリーン色を保ち、ビタミンCが損なわれず多く留めているといわれているようです。

加熱時間は約20秒。その後よりをかけて、最終的に水分量が5%程度になるまで乾燥させます。

葉が小さくよりがきれいにかかっているものは「煎茶」、葉が大きくがさっとしたものは「番茶」、茎の部分は「茎茶(雁ヶ音/かりがねと呼ばれます)」、粉は「粉茶」になります。ちなみに、煎茶になれない小さくてくちゅくちゅっと丸まった茶は「芽茶」といわれるそうですが、一保堂では取り扱っていません。

日本茶は「抹茶」「玉露」「煎茶」「番茶」の4つに分けられ、この4つは大きく「抹茶」と「玉露」、「煎茶」と「番茶」の2チームに分かれます。

違いは、茶葉の育て方と味わいの違いです。

育て方。

前者(抹茶・玉露)は、4月中旬ごろに新芽が芽吹き始めたら、徐々に覆いをかけて日光を遮光してしまう「覆下園(おおいしたえん)」で育てられ、後者(煎茶・番茶)は太陽の光をたっぷり浴びられる露天園で育ちます。

味わい。

前者は甘味と旨味が強くてコクがあり、青い香りが馥郁と立ち上がります。
後者は、すっきりと爽やかな香りで、旨味と渋みのバランスがよく、すっきりとした後口です。なかでも煎茶は、4月中旬ごろの新芽から約1か月ほどの若芽で、甘味と旨味がぐっとつまっています。一方番茶は、煎茶より少し大きく育った葉っぱで、甘味が拡散して渋味へと変わっています。
これは、お茶の木に含まれる甘味のもととなる成分テアニンが、太陽の光を浴びると渋みを感じさせるカテキンへと変質するという特徴によるものです。

ここでいくつかチップスを。

茶の木の働き盛りは10歳から25歳。
茶屋ごとによる味づくりは、茶葉の具合を見極める仕入れ担当の五感と、合組み(ごうぐみ)という茶葉を組み合わせて味づくりをする担当の五感にかかっています。
茶の木は生き物ですから、天候や気候により、年ごとに微妙な味わいの差が出ます。
素材本来の持ち味ですから、味わいの違いも楽しいのですが、さまざまな茶葉を合わせて、後は淹れ方で味を調えられる範囲に、味を組み立てていくのが、お茶屋の腕の見せどころ。そこにお茶屋それぞれの個性が発揮されます。

お茶の葉の見極めは熟練の技を要するため、知識がないとだまされてしまうこともあり、昔は「狐草(きつねぐさ)」なんて言っていたこともあるそうです。

お茶を保管するときには、「光」「酸素」「湿気」「匂い」の4つのポイントに注意します。遮光性のある缶に入れ、内袋から空気をしっかり抜いて口を閉じ、冷蔵庫に入れず、なるべく涼しいところに置き、早いうちに飲みきります。

さて、今回はまず試飲からスタートです。

試飲1 手摘み玉露の「甘露」

「むっくり「とした覆香(おおいか)をくゆらせながら、青い香りとともに旨味の凝縮した一滴一滴をじっくり味わいます。

試飲2 抹茶。表千家では「丹頂の昔(たんちょうのむかし)」、裏千家では「関の白(かんのしろ)」。

旨味がよくのった濃厚な味わい。まず甘みとコクがきて、最後にほんのりと苦味が混じった余韻を感じます。

試飲3 煎茶「芳泉」

一保堂らしい味筋を持ち、一保堂のお茶選びの基準となっているのがこれ。摘んでから少なくとも2か月は寝かせて熟成させているため、まろやかで練れた味わいです。
甘味・渋味・香りが、繊細なバランスをとって調和しているため、複雑な味わいと長い余韻を楽しめます。一方で、繊細な分だけちょっとした加減で、味わいが甘味や苦味に転んでしまうため、淹れるのが難しいお茶でもあります。

さあ、この煎茶の味わいを踏まえた上で、いよいよ今回のテーマ「番茶」の登場です。

番茶は、煎茶の茶葉が大きく育ったもの。つまり、煎茶より太陽の光を長く浴びて育つため、テアニンがカテキンに変化して、太陽がもたらす香りが強くなります。
煎茶が、甘味・渋味・香りの調和を味わうお茶とすると、番茶は、渋味と香りを味わうお茶です。

長く育てられた分だけ、茶葉は大きく肉厚に育ちます。よりをかけた時、針のようにピンと細くまっすぐによりがかかるのが「煎茶」。番茶は茶葉が肉厚で煎茶より固いので、よりをかけた時にガサッとして、柳の葉のかたちに似ます。そこで関西では番茶を「柳(やなぎ」と呼ぶそうです。

「柳」に炒った玄米を混ぜたものが「玄米茶」
「柳」を焙じたものが「焙じ茶」で、これらは「番茶類」とみなされます。


試飲4 番茶「若柳」の水出し

茶葉30gを氷水1.5リットルに淹れ、一時間抽出したもの。
シンプルな味わい、すっきりした渋味を持つ喉越しが特徴です。湯温の高低で渋味を調節できるため、もっと渋くしたければ、熱湯で淹れてから冷ましてもよいそうです。

試飲5 「極上玄米茶」

炒った玄米の香ばしい香りが特徴。茶葉の量が多いため、さっぱりとした番茶の味わいもしっかり味わえます。

試飲6 「極上ほうじ茶」

葉の状態や天候を見ながら職人が焙煎したほうじ茶。一保堂では2度焙煎します。香ばしい焙煎香と、さっぱりとした味わいが特徴です。

柳は家庭の洋食に、玄米茶は焼き魚など家庭の和食に、ほうじ茶は中国料理によく合うそうです。

試飲7 ほうじ茶の茎茶「くきほうじ朝緑」

ほうじ茶より焙煎香が強く、味わいはどっしりと濃厚になります。

試飲8 熱湯で淹れた「若柳」

抽出時間をとらず、熱湯でさっと出します。香りと渋味が強く引き出され、食後にさっぱりといただくのにぴったりです。

ここでこのシリーズ最大(?)のお楽しみ、京のお菓子の登場です。

番茶「若柳」に合わせるのは、もちもちとした食感で見た目もかわいい「若鮎」
玄米茶に合わせるのは、ちょっと焦がした醤油の焙煎香が玄米の香りに合う「もろみあられ」
ほうじ茶に合わせるのは、こちらも甘やかな焙煎香が潜んでいる「キャラメルラスク」です。

ふだん家庭でざぶざぶと淹れて、気軽に飲める「玄米茶」や「ほうじ茶」を、ちょっとお洒落なおもてなし顔にするコツは、なるほど、カラメルや焦がし醤油など、「炒った香ばしさ」をマリアージュするんですね。
これならワインのマリアージュより、ずっと簡単で自由なような。

・・・・・・とここでリポートを終えたいところですが、最後にサプライズで強烈なお茶が登場です。

試飲9 いり番茶

京都で「番茶」といえば、いり番茶のこと。京都では古くから親しまれているお茶だそうです。

「覆下園」で玉露を一番摘みした茶摘みの後、残った茶葉を翌年のためにヒザ丈くらい切り落とし、枝や葉、茎などをまとめて蒸し、よりをかけずに葉が開いた状態のまま乾燥させます。
最後に、高温に熱した鉄板の上で、3分ほど強火で炒ってスモーキーに仕上げます。

京都では「しまつのお茶」ともいわれるリーズナブルな価格と、温かくしても、冷たくしてもいただける使い勝手のよさに加え、カフェインやタンニンの含有量も少なく、「赤ちゃんや病気の人にも良いお茶」と古くから愛され、伝えられているそうです。

まずは茶葉が登場・・・。
枯れ葉のような葉っぱに、枝や茎ががさっと混じり・・・。
見た目はまるで、たき火のために集めた落ち葉のよう。

そして香りも強烈です。熱した鉄板で炒ることでつく焦げたようなスモーキーな香りに、たき火のようなむわっとした葉の香りと、葉巻のような甘苦さ、さらにどこからくるのか酸っぱいような香りも混じります。

飲んでみると、やっぱり独特。なんだかタバコのように、喉の奥のほうから煙くささと酸っぱさが戻ってくるような。

ですがこのお茶、慣れると「これがいちばん」というほど病みつきになるそうです。なるほど、確かに強烈なクセのある個性の持ち主です。
これを赤ちゃんに飲ませるという、その発想にノックアウト。京都のお茶の世界は、ほんとうに奥が深すぎる、ミステリーゾーンでした。



<ご案内>

 

「お茶の間」という言葉は死語に近くなっていないでしょうか?以前はどの家にお茶の間があり、そこでの家族団欒がありました。懐かしい光景ですが、住宅の洋風化は容赦なく押し寄せ、ダイニングルームとなり和食から洋食に、日本茶から紅茶やコーヒーに・・・という方も増えています。

ですが、食後は日本茶という方は多いはず。ペットボトルの日本茶は厳密には「お茶飲料」、日本茶風味のものが手軽に味わえるという点では便利ですが、お茶を自分で美味しく淹れる機会を減らしてしまった、その原因の一つでもあるかもしれません。

今月観た文楽の作品にこんな場面がありました。「こんな出涸らしの茶が飲めるか!」と怒って茶碗からお茶を捨て、茶屋の親父さんに淹れ直させた嫌な奴が出てきました。

まずいお茶ほど気分を悪くさせるものはありませんが、逆を言えば美味しいお茶を飲むと本当に幸せになります。「ああ日本人に生まれて良かったぁ」と思います。

以前ギリークラブで京都小旅行に行った時に一保堂さんにお邪魔し、短時間ではありましたが日本茶セミナーをして頂き感銘を受けました。それでご縁が出来、それからこんな事が一緒に出来ないかと、相談をしながら準備してきましたが、実現に至りました。

一保堂さんに4週連続で京都から東京に出張して頂き、日本茶セミナーを実施して頂けます。

以下に概要を記しますが、毎回煎茶、抹茶、番茶、玉露をテーマに基本を学び、茶葉の選び方、淹れ方、楽しみ方、保存法などをお聞きし、勿論毎回テーマのお茶を菓子と一緒に頂戴してなごみます。、

日本人ならこれは知っておきたいものです。美味しいお茶を淹れたら、お客様に本当に喜ばれます、というより仕事が上手くいくかもしれません。

淹れる方も、飲む方も、何が美味しい日本茶なのかを知っておいた方が、幸せで潤いのある人生がおくれます。そんな事が学べる貴重なチャンスです。

平日昼間ではありますが、どうぞ調整してお出かけください。4回シリーズですが、1回だけでも、2回だけでも全く問題ありません。ご都合が付く日にお出で下さい。

「お茶を濁して」自分の気持ちをごまかさず、自国の文化として大切な日本茶を学びませんか?奮ってのご参加お待ちしています。

(一保堂さんからのメッセージ)
一保堂茶舗は京都 寺町二条に本店を構える日本茶専門店です。
一保堂では、抹茶、玉露、煎茶、番茶類の日本茶で、穏やかな味と香りが特長の「京銘茶」を中心に取り扱っております。

またお茶をお売りするだけでなく、茶葉の魅力をお伝えすることも大切な役目の一つと認識し、「お茶の淹れ方教室」を開催しています。

今回は抹茶、玉露、煎茶、番茶類と茶種ごとに、日本茶の畑から製造工程、大切な淹れ方から日常生活の楽しみ方まで試飲も交えてお伝えする教室を開催します。まずはご自身で体験しながら、日本茶を知って、味わって、楽しんでください。

<参考>

渡辺が2005年に日経ビジネスアソシエに書いた原稿です。
http://nba.nikkeibp.co.jp/yamatokabure/1st/15.pdf

当時、若手ビジネスパーソン向けに日本文化指南を連載しており、
「真の国際化とは自分の国を知ること」がコンセプトの連載でした。

<参考サイト>

●一保堂茶舗
http://www.ippodo-tea.co.jp/

●日本茶 『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

●煎茶 『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

●抹茶 『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

●番茶 『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

●玉露 『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/

<実施概要>

●日本茶を知り、楽しむ4週
仕事中、食事中、日々何気なく飲んでいる日本茶。抹茶・玉露・煎茶・番茶と聞いたことはあるけれど一体何が違うの?意外に知らないことがたくさんあると思います。そんな日本茶をご紹介するセミナーを開催します。まずは知って、味わって、楽しんでみませんか?興味のある茶種に参加するもよし、全てのお茶と仲良くなるもよし。お茶を一服どうぞ。

●日時:6月2日・9日・16日・23日(毎週水曜日)15:30〜17:00

●会場:丸の内カフェ2F
千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1F  TEL : 03-3212-5025
http://www.marunouchicafe.com/access/index.html

●募集: 各回10名

●会費:このページの最後の各回の詳細案内をご参照下さい。

●締切:5月24日(月)
(それ以前でも満員の際には締め切ることもあります。)
※満員の際、キャンセル待ちは可能です。

<第 3 回>

●日本茶を知り、楽しむ (3) 番茶を楽しむ

●日時 6月16日(水) 15:30〜17:00

●会費 正会員 3,000円 ビジター 5,000円

<テーマ>
ご自宅で一番楽しまれているお茶が番茶だと思います。香り高くすっきりとした味わいの番茶は、お食事にも、仕事の一服にも熱々を楽しめます。一保堂の番茶の中から人気の4銘柄を選んで一気にご紹介。飲み比べてお好みの番茶をお探しください。

●ウェルカムドリンクとご挨拶
・いり番茶をご紹介します。

●日本茶ってどう違うの?
・畑の違いから製造工程など、日本茶って何なのかをまずお伝えしていきます。
・抹茶・玉露・煎茶・番茶類と日本茶それぞれ味わいの違いを試飲を交えてお伝えします。
・抹茶、玉露、番茶を試飲いただきます。

●番茶を淹れるポイントは?
・茶葉を急須に入れてお湯を注ぐだけ。でもこの中にもポイントはたくさんあります。そのポイントをお伝えしてきます。

●番茶淹れ方体験 季節のお菓子とともに
・ご自分で急須を使って体験いただきます。4人1組でそれぞれ淹れたお茶を交換し、4銘柄全てを味わっていただきます。
・番茶に合った季節のお菓子をご用意します。どうぞお楽しみに。
・体験:極上ほうじ茶・朝緑・若柳・極上玄米茶を飲み比べしていただきます。

●番茶の楽しみ方
・味わいや趣がことなる番茶。日々の生活の中でどんな風に使い分ければいいの?そんな悩みにお答えします。
・番茶は急須ではなく大量に作り置きしたり、持ち歩いたりすることも多いお茶。そんな便利な使い方もご紹介します。
・番茶の水出しをご紹介。試飲していただきます。

●番茶の保存方法
・せっかく買い求めた抹茶。美味しく飲んでいただくためには点て方と同じく大切なのが保存方法です。

●質疑応答