<GILLIE>株式会社ギリー
ギリークラブ
TOP
クラブ概要
メンバーメリット
入会案内
アップデート
2008年セミナー詳細
2007年セミナー詳細
2006年セミナー詳細
2005年セミナー詳細
2004年セミナー詳細
2003年セミナー詳細
2002年セミナー詳細


GILLIE CLUB

オペラレクチャー「黒船―夜明け」を学ぶ

<ご報告>


   

<ご案内>

超初心者のためのオペラシリーズ、第5回は「黒船―夜明け」です。このレクチャーシリーズは本当に役に立ちます。まずは作品を知らないと行こうという気にならないですよね。

もちろん有名な作品からのデビューもあれば、気になっていたけど今までチャンスが無かった、というような作品との出会いもまた楽しいものです。

オペラは高い!そんなイメージがありますし、現実そうです。特に海外の有名なオペラの引越し公演は5万も6万もすると、いくら価値があっても絶対的な金額はやはり高いものがあります。

気楽に行こうよ、と誘える金額ではない事も確かですが、ライブで体験してみると、その素晴らしさがよく分かります。

“オペラ”が気になっているが、観劇する機会がない、同じ価値観を持って一緒してくれる友人・知人が周囲にいない、オペラデビューの日に備えて、どのようなものか学びたい、そんな方の為に、レクチャー会、そして観劇会、がギリークラブです。

ストーリーを学び、音楽をCDで聴く、何となく分かりますが、その作品の良さは決して分かりません。ところが過去の公演ビデオでハイライトを見せてもらい、

“このアリア(独唱)は聴きどころです!”
“ここが見どころです!”
“実はこのシーン、このような裏話があるのです”

というような話を伺いながら観ていくと、これが実に興味深く、より理解できます。

このレクチャー会にご期待下さい。本当によく分かるのです。どうぞ奮ってご参加下さい。

ギリークラブは交流会ですから、単なるレクチャーではありません。セミナー後には、ペットボトルを片手にオペラ何でも質問会、ここが一番充実しているかもしれません。

本公演を観劇できない方の参加もOK、レクチャーは無料です。劇場に2回足を運ぶ手間はありますが、それだけの価値があります。

ということで、オペラレクチャー第5弾です。今回の作品は「黒船―夜明け」、日本のオペラ第一号です。ちょっとわくわくしますね。講師である新国立劇場オペラ広報、桑原さんの作品解説をお読み下さい。

*********************************
オペラレクチャー付き観劇プラン<第五弾 オペラ「黒船―夜明け」>

オペラレクチャー付き観劇プランの第五弾は、みなさまも童謡「赤とんぼ」、歌曲「からたちの花」でご存知の山田耕筰が作曲した、日本におけるグランドオペラ第一号「黒船―夜明け」です。

このオペラの<時>は1856年。<所>は伊豆下田。ドラマの主な登場人物は、幕末の開国交渉を担うアメリカの領事と、反対派の浪人・吉田。そして、主人公であり、領事が恋した芸者・お吉。この3人を中心とした恋愛物語です。

歌詞は当然ですが日本語です。非常に親しみやすい旋律で作曲されたオペラですので、オペラが初めてと言う方、日本語の歌詞のオペラは初めてと言う方でも、抵抗無くオペラの醍醐味をご理解いただける作品です。オペラの魅力は「音楽とドラマの融合」です。誰もがご存知の幕末の混乱。そこに巻き込まれた芸者のお吉。領事と吉田の愛の狭間で悩んだお吉の胸中。これが見事な音楽で表現されています。


<作品解説>
1928年(昭和3年)親日家のジャーナリスト、パースィー・ノーエルというアメリカ人がこの「黒船」の台本を持って、山田耕筰に作曲を依頼した事が、この作品が誕生するきっかけでした。もともとアメリカでの上演が目的だったので翌年に完成したスコアには英語で歌詞が記入されているものが現在も残されています。 P・ノーエル氏は日米外交史の研究家で、黒船に関する史実もよく調べてありましたが、山田耕筰も伊豆下田へスタッフと共に出向いて調査をおこないました。第一稿には不備な点もあり、度々訂正加筆が行われ第三稿が定本となり、これを翻訳して作曲、1939年(昭和14年)10月4日に完成し、翌年、紀元2600年奉祝のとき東京宝塚劇場で初演、題名を「夜明け」として発表いたしました。 また、これまでの上演では「序景」はカット、または短縮して演奏されていましたがが、今回の新国立劇場公演では「序景」を初めて復活して上演いたします。

<あらすじ>
序景
―安政3年(1856年)― 〈伊豆下田の夏の夜〉 盆踊りでにぎわう夏祭りの夜を民謡風の合唱と踊りで描く、独立した楽曲。
<この部分だけは1931年にNHK交響楽団の前身である新交響楽団の定期演奏会で演奏されたが、初演と昭和29年の上演の時には時間の都合上省略された。1960年(昭和35年)日米修好100年記念で大阪国際フェスティバル公演で初めて上演されているが、東京では1986年1月公演が初演となる。>

第1幕
〈伊豆下田、料亭伊勢善の庭、夏〉 安政3年の夕方、奉行と伊佐新次郎は幕府がアメリカと開国の条約を結んだという情報におのおの意見をたたかわせている。奉行はおそれ、伊佐はあきらめている。そのうち芸者が酒肴を運んできて、酒盛となる。その最中、深編笠の浪人が現れその場を白けたものにする。浪人は何もせずに立ち去る。「歌をうたえばその束の間に 野辺でさえずるひばりでさえも あれはずかしと、だまるぞえ…」お吉のうた声が遠くから次第に近づき、やがて養母の姐さんとつれ立って庭に現れる。伊佐は彼女に酌をさせようとするが応じない。そこへ浪人吉田が荒々しくふみ込んで来て、「きけ、幕府の侫人ばら わが日本をにえとして 夷狄に渡す国賊ども」と奉行たちにつめ寄るが、そこへ幕府の使者が御沙汰書を届けて来る。伊佐が読み上げる―。「…何人たりとも、御地に上陸せる外国住民に対し、不埒の干渉をなす者は、獄門、はりつけに処すべく候事。」浪人吉田はその場を引きさがる。町のざわめきが、この丘にひびく。黒船入港のおそれの声、芸者たちも女中もみんな散らばる。奉行、伊佐もあわただしく身仕度して出てゆき、お吉ひとりだけがその場を動かない。書記官に導かれて現れた領事は「おお美わしの日本よ、いかなる幸をあたうるや 心やぶれし、さすらい人のわれゆえに」と第一印象をうたい、お吉に奉行所への道順をたずねる。はじめて見た外国人。お吉は、領事たちが去ったあとをぼんやり考え込んでいる。その時、吉田が再び現れて、お吉に領事を亡き者にする方法を教えて、扇の中に仕込まれた短刀を渡す。折から人の来る気配に吉田はたち去るが、お吉は考え込んだまま、その手から扇をとり落す。

第2幕
〈伊勢善の大広間〉翌年の早春。吉田を中心とする一味の浪人たちが集まって、飲めや歌えの間に幕府に対する作戦をねっている。吉田はお吉に命令して置いた領事暗殺が、いっこうにはかどらないのでお松にお吉を呼びにやる。お吉は吉田の前に、心の悩みを打ちあけるが、吉田はさらに命令する。浪人たちの危害をのがれるには、領事の館へ行く方がいいと、すすめる姐さんの言葉であるが、領事を殺せば本当に国が救われるものなのだろうか。17歳のお吉には解き得ない問題だった。「姐さん教えて下さいな 領事をお吉の手にかけて お国の不和をなくすのが 道理にかのうたことでしょか。」と心の苦しさを訴える。その時、いつまでも条約の日が決まらぬのにいら立つ領事は、書記官にすすめられてこの伊勢善へ、うさばらしにやって来た。すると、そこには彼がはじめて日本に上陸した日に逢った乙女「お吉」がいるではないか。悩みと、さびしさの幾日かを過ごした領事の胸に、恋に似た感情が湧く。「君の眼に、幸の日の望みあらば 新しき言葉を見出て、ささやかん」領事たちが庭に出たあとへ奉行と伊佐が現われる。領事にお吉を侍らせて交渉を円滑に運ぼうと希う奉行と伊佐はお吉に最後の返答を迫るが、彼女は応じない。奉行は怒って彼女を牢に入れよ、と命ずる。

第3幕
〈第一場・領事館になっている玉泉寺〉安政4年の秋、領事はひとり、憂うつな回想にふけりながら日記をつけている。「すぎし日のその明けくれに、われは眺めぬ 高き山の、かのいただきを…」14ヶ月も本国からは何のたよりもない。日本の幕府の約束は空しく、自分の一挙一動を陰謀とにらむ…。領事はこの日記を遺書にして死のうとピストルを手にする。そこへ人の来る気配に思わずピストルをその方へ向ける。はいってきたのは「お吉」だった。お吉は領事のはからいで牢を出られたものと思ってお礼に来たのだった。実はお吉を領事にかしづかせれば、お松が自分のものに…と考えた書記官の策謀で、伊佐と共謀して領事がお吉を救ったように仕組んだのである。領事はその事情を知って当惑する。考えてもみなかったことなのである。こうした狡猾なたくらみをする植民地ずれのした書記官でも慰めなき異境の空はやはりわびしい。果しなき水平線に黒船を求め、今も、海の見える丘立つ書記官はそれらしき影をみつけ、領事と共に更に高い丘へ上ってゆく。お吉は姐さんに、領事の心をたたえその姿さえもほめる。遠くから不思議な尺八の音がきこえて来る。秋の木の葉が舞い落ちるお吉の足もとに紙つぶてが投げ込まれる。紙片には「いそげ」という三字。吉田からの催促である。恐れまどうお吉。領事は船が自分の待つそれでないのに失望して戻って来る。そして、お吉に自分に仕えてくれるかたずねる。お吉は牢から救われたよろこびと、また恋しい人吉田の頼みを果すためにも、と決心する。

〈第二場・弁天島〉 吉田とその一味は、一年も経ったのに、お吉がいまだに領事を殺さないので、自分達で決行するほか途はないのでは…と相談している。領事と連れ立って此の島に来たお吉は、そこの祠の前で手を合わせ、吉田の命令が果たせますようにと弁天様に祈る。今日こそこの島で、という瞬間、俄かに暴風が起り雷鳴がとどろき、この小さい島は水にかこまれ陸への路が断たれてしまう。自分の生命をねらうお吉のたくらみを知らぬ領事は、この離れ島からお吉を救おうと海に飛びこみ、岸の舟をとりにゆく。お吉の心は吉田の命令から、いよいよ離れてゆく。

〈第三場・玉泉寺の内部〉 領事に二度も救われたお吉は、自分の卑劣な根性を後悔して泣いている。そして領事を刺そうとしたことを告白するが、領事はただ笑うだけである。そこへ奉行と伊佐が将軍家と領事との対面の日を、いつでも領事の都合のいい日に、という通知をもたらす。人の去った後、領事は、はじめてお吉の手をとり、愛の心を語る。前からしのび込んでいた吉田が抜刀のまま現れる。彼は領事とお吉を殺して自らも死ぬ決心だった。その時、京都からの御使者の趣きを伝えに同志の一人がかけつける。吉田は、はじめて自分の非をさとり、その場に割腹して罪を詫びる。領事は日本の武士道を賛美し、吉田の流した血で二つの国が平和に結ばれると告げる。黒船の入港。急を伝える寺鐘の響き、船から打ち出される号砲のとどろき。「あゝ鐘が鳴る 鐘が鳴る あれは夕べの鐘ならで 明日の夜明の前知らせ 大砲のとどろき あれは戦のそれならで 明日の平和の前知らせ」町の人たちの叫び声、打ち鳴らす寺の鐘、調伏の念仏の声、そして崇厳な武士の最後の情景の交錯する興奮のうちに幕がおりる。

● 1986年1月(社)日本楽劇協会主催 オペラ「黒船」公演プログラムより転載(一部改定)

レクチャーでは、過去にNHKで放映されたこの作品のビデオを使用して、聴き所・観どころと簡単なストーリー説明を行ないます。それから、本公演のアーティストの魅力を少しご説明したいと思います。レクチャー(参加無料)にご参加いただいて、オペラ「黒船―夜明け」ストーリーと作品のポイントを是非とも押さえていただきたいと思います。その上で、実際の「黒船―夜明け」の舞台もご観劇いただきたいと思っております。皆様の観劇申し込みを、お待ち申し上げております。

なお、レクチャー終了後、簡単な懇談会を予定しております。皆様のご参加・お申し込みをお待ちしております。

<参考サイト>

●今回公演「黒船―夜明け」のホームページ
http://www.nntt.jac.go.jp/season/opera/index.html
●新国立劇場トップ
http://www.nntt.jac.go.jp/
●オペラ入門
http://www.nntt.jac.go.jp/bravo_opera/index.html

<山田耕筰> [1886―1965]

作曲家。明治19年6月9日、東京に生まれる。
関西学院を経て1908年(明治41)東京音 楽学校本科声楽科卒業、岩崎小弥太(こやた)の援助を受けて10年から13年ベルリン高等音楽学校に留学し、作曲を学ぶ。
帰国後15年(大正4)に岩崎主宰の東京フィルハーモニー会内に管弦楽部を組織・指揮(翌年解散)、20年には日本楽劇協会をおこして、日本における交響楽やオペラの確立を目ざした運動を進める。また22年北原白秋(はくしゅう)と『詩と音楽』を創刊、詩と音楽の融合を図り、日本語の語感を生かした歌曲の普及による国民音楽樹立運動をおこすなど、生涯にわたって日本の音楽界の指導的役割を果たし続けた。
36年(昭和11)フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章を受け、42年に芸術院会員、56年に文化勲章を受章。昭和40年12月29日没。
その作風は後期ロマン派の流れをくむもので、作品はオペラ、交響曲、交響詩、歌曲、童謡など多数。代表作に交響曲『かちどきと平和』(1912)、交響詩『曼陀羅(まんだら)の華(はな)』(1913)、オペラ『堕(お)ちたる天女』(1929)、『黒船』(1940)、歌曲『六騎』(1922)、『からたちの花』(1925)、『この道』(1927)、三木露風作詞の『赤とんぼ』(1927)などがある。

<参考情報>

♪そもそもオペラって?
ルネサンス後期の16世紀末、フィレンツェで“古代ギリシャの演劇を復興しよう”という流れからギリシャ悲劇を模範に、<歌うようなセリフを用いる劇>が考えられたのがオペラの起源といわれています。つまり、オペラを一言で説明いたしますと“セリフが歌で表現されているドラマ”なんです。

♪オペラの魅力は?
第一に、歌手の“声の魅力”をご堪能ください。
世界で一流と言われる“歌手の声”はまさに芸術品です。聴いていると、心地良かったり、圧倒されたり、涙が出てきたり。この素晴らしさを説明するのは言葉では非常に難しく、体験していただくことが一番の近道なのですが、それをあえて言葉で説明いたしますと、「凝っている肩にクーッとツボ゛に入ってほぐしてくれる、ゴッドハンドのエステシャン」のように、皆様の心に歌手たちの歌声は染み渡るでしょう。

第二に、“ストーリーの展開と音楽の融合”をご堪能ください。
オペラは、優れた文学作品を台本化して、そのストーリーに合わせて作曲家が曲を作曲して完成した作品がほとんどです。そして「オペラのドラマは“男と女のドラマ”がほとんどである!」と申し上げて過言ではございません。恋愛ドラマに素晴らしいBGMは不可欠ですが、その原点はオペラにあるのです。

第三に、“視覚的にドラマを支える舞台セットと照明と衣裳の融合”をご堪能ください。
<最愛な人に対する“愛の告白”にはロケーションがとても重要>という意見に、皆様ご賛同いただけると思います。デザイン空間で繰り広げられるストーリー、雰囲気を盛り上げるドラマティックな照明効果、キャラクターに合わせてデザインされた衣裳。視覚的にもすべてが“芸術作品”の中でオペラは公演されるのです。

<実施概要>

●ギリークラブ オペラレクチャー「黒船―夜明け」を学ぶ
●日時:12月22日(土)13:30〜16:00
13:00 受付開始
13:30 レクチャー
15:00 交流会へ
16:00 終了
●会場 新国立劇場 5階 情報センター(京王線初台駅直結)
●ゲスト:桑原 貴氏(新国立劇場制作部 オペラ広報)
●会費:無料 交流会会費(お茶代)は別途個人負担
●参加人数:申込先着順 25名限定
※レクチャーに参加したら本公演を観劇しなくてはいけない、などという事はありません。どうぞお気楽におご参加下さい。